「西郷どん」難解方言が話題 “お国言葉”の歴史と魅力を知る
- 2018.01.20 Saturday
- 10:54
薩摩の西郷隆盛を主人公にしたNHK大河ドラマ「西郷どん」がスタートしたが、難解すぎる“方言”をめぐって賛否両論が渦巻いている。
標準語で「紹介します」は、薩隅(鹿児島)弁になると「紹介シモス」に。「ありがとうございました」は「アリガトサゲモシタ」、「そうです」は「ジャッド」、「しかし」は「ジャッドン」になる。文脈や役者陣のしぐさや所作を見れば容易に推測できるとはいえ、戸惑った視聴者がいたのも当然だろう。
もっとも、今も鹿児島のおばあちゃんが話す本物の方言となればこんなものではない。江戸時代には標準語というもの自体がなく(国語調査委員会設置は1902年)、互いに言葉が理解できない場合、当時は「ござ候」など漢文調の文語によって意思疎通を図っていたという。
むろん、NHKの制作サイドも今作ではディープなネーティブ言語はなるべく避け、「ヤッセンボ」(臆病者、役立たず)といったセリフには字幕で対応している。
「明治時代に言語統一という方針が決まり、東京山の手の言葉をもとに標準語ができました。とはいえ、お国言葉は宝物であり、なまりを聞くだけで『ひょっとして同じ出身かな』と気づいてうれしいもの。ネガティブな表現ですが、1963年に起きた吉展ちゃん誘拐事件では身代金要求の電話の声のアクセントが犯人特定のひとつの要因ともなりました。それぐらい方言は消すことが難しいのです」(フリーアナウンサーで東京成徳大学客員教授の梶原しげる氏)
薩隅弁で「アイガト」と発声する「ありがとう」ひとつとっても、「もっけだの」(山形)、「おおきに」(中部、関西など)、「だんだん」(愛媛、鳥取、島根など)、「にふぇーでーびる」(沖縄)とさまざま。富山に至っては「きのどくな」で、聞く人によっては「気の毒な?」と誤解されてしまう。
まあ、こうした同音異義語の間違いは、酒飲み話のネタにもなる。
JAFが「標準語と思っていたのに実は方言だった?」というアンケートを行ったところ、1位は「なおす」だった。関西人なら「片づける」ことだとすぐに分かるが、全国的には「治す・直す」とカン違い。2位は北海道や東北で使われるゴミなどを「なげる」。捨てるという意味で、関西なら「ほかす」だ。
こんな勘違いに大笑いして、ほっこりする(京都の方言でホッとする)ことも。ご当地言葉はやはりいい。
- -
- -
- -